エラスチンって一体何者?肌にハリを与えるだけじゃない、その役割とは

コラーゲンやヒアルロン酸などと並んで出ることの多い美容成分「エラスチン」は、肌を構成する大切な美容成分の一つです。エラスチンは肌の土台である真皮に存在しており、コラーゲンとともに肌に弾力を与える役割を持っていますが、実はエラスチンの働きはそれだけではないようです。

この記事では、エラスチンの正体とその役割についてのお話にあわせて、そのエラスチンを維持するために有効な方法についてお話していきます。

 

エラスチンって何?

肌を作るアミノ酸「エラスチン」

そもそも、エラスチンって何者なのでしょうか?

エラスチンはアミノ酸で出来ており、肌でいえば「真皮層」に存在するたんぱく質の1種。コラーゲンやヒアルロン酸と一緒に肌の土台作りをしてくれているのです。もちろん、ヒトだけでなく、脊椎動物の結合組織にもあります。

コラーゲン、ヒアルロン酸やプロテオグリカンなどと同じく真皮の線維芽細胞の外側に存在することから「細胞外マトリクス」と言われていて、肌のハリや弾力を保つには、非常に大切な成分です。

 

エラスチンは成長期に多く作られ、20代後半から徐々に減少し、40代になると一気に減ると言われています。この年代になると急に肌老化を感じる方がいらっしゃいますが、それはこのエラスチンが激減した結果かもしれません。エラスチンが減ると肌の弾力が失われるため、シワ、たるみやほうれい線などといった肌トラブルが起こりやすくなります。

 

エラスチンが存在する「真皮層」とは?

ヒトの肌は表皮、真皮、皮下組織という3層から構成されており、エラスチンはこの「真皮」に存在する成分。真皮層は、わかりやすく言えば肌の「土台」の部分です。真皮層が乱れると、深いシワが出来てしまうなど、肌表面に凹凸ができエイジングに繋がります。

では、その真皮層でエラスチンはどのように存在しているのでしょうか。エラスチンは真皮層に網目状に張り巡らされていて、フィブリンという線維とくっつき弾性線維になっています。その線維が真皮層の上層には肌に対して垂直、下層では肌と平行にはりめぐらされています。

 

コラーゲンとの違い

コラーゲンはエラスチンと同じく肌の真皮層に存在する成分です。真皮の7割はコラーゲンが占めており、肌の弾力を保っています。これに対しエラスチンは真皮では数%程度で、10%にも満たないのが大きな違い。肌においてはコラーゲンの方が格段に多く重要と感じられるのですが、エラスチンはその伸縮性によりコラーゲンを束ねるという大きな役割を持っているのです。

 

エラスチンは800個を超えるアミノ酸から構成されていて、コラーゲンには配合されていない「デスモシン」と「イソデスモシン」を持っているのが特徴。また、コラーゲンにはエラスチンにはない「ヒドロキシプロリン」を含んでいます。

また、コラーゲンは弾力がありつつも、かなり強靭で固いのが特徴。一方でエラスチンはコラーゲンほどの強度はない代わりに伸縮性を持っています。この二つの特性がかけ合わさることで、肌の土台は作られているのですね。

 

エラスチンの役割について

肌のハリ・弾力を保つ

エラスチンは弾力性と伸縮性の高い成分。肌においては、コラーゲンとともに弾力を維持する働きをします。ゴムのように伸び縮みするため、肌に付いた跡をシワになる前に元に戻すなどの役割を持っているのですが、エラスチンが減少することにより弾力が失われ、シワやたるみの原因に繋がります。コラーゲンを束ねるエラスチンがあって初めて肌の弾力性は維持されますので、コラーゲンだけでなくエラスチンも一緒に摂取するように心がけましょう。

 

靭帯、動脈、肺にもエラスチンは存在する!

エラスチンは、実は肌以外にも存在し、私たちの生命を保つ役割を持っています。

靭帯、血管や肺に多く存在するのですが、その割合は、靭帯は80%程度、動脈は50%程度、肺には20%程度のエラスチンが含まれています。肌にあるエラスチンは10%に満たない割合ですから、美容というよりはむしろ健康にとって重要な成分なのです。

エラスチンが減少すれば、靭帯であれば収縮性が下がり怪我をするリスクが高まりますし、血管であれば血栓や動脈硬化などの原因になります。

エラスチンは年齢とともに減少していきますので、上記のようなリスクを避けるためにも積極的に摂取するのが良いでしょう。

 

減少すると血管にリスクが

エラスチンは血管にとって非常に重要な役割を持つ成分でもあります。心臓の周りには「弾性型動脈」と「筋型動脈」が存在し、エラスチンが多く含まれているのは弾性動脈。このエラスチンが減少すると、血管には当然柔軟性が無くなってしまうので、動脈硬化、心筋梗塞や脳血栓などといった血液系の病気を引き起こすリスクが高まります。

エラスチンは、美容だけでなく、私たちの生命活動においても非常に重要な成分なのです。

 

エラスチンを維持するにはどうしたら良い?

エラスチンは年々減少していく

エラスチンは25歳前後がピークで、その後は減少していく一方です。しかも、一度壊れてしまうと再生されないのも難点。エラスチンにとって重要なのは、いかにしてその数を減らさないか、というところにあります。

 

ストレスや生活習慣の乱れを避ける

エラスチンを維持するのに最も重要なのが、抗酸化と抗糖化の2つです。「酸化」と「糖化」は老化の主な原因と言われる現象。これらを防ぐことで、エラスチンを守ることにも繋がります。そこで大切なのが、ストレスを避けること、整った生活習慣を送ることです。生活習慣というのは食生活も含めてのことで、糖化しやすい食事である脂質や糖分の過剰摂取は避けましょう。また、ストレスや不摂生な生活は身体に「活性酸素」という老化物資を増やし「酸化(=老化)」を促します。

スキンケアやサプリメント以上に、これら酸化と糖化を防ぐ生活の土台を作ることは美容と健康において大切なのです。

 

紫外線を浴びないようにする

エラスチンは紫外線により劣化しやすいため、常日頃からの紫外線対策が維持には大切になってきます。

もし紫外線を浴びてしまった場合には、下記の成分を摂取するとアフターケアとして有効です。

 

【紫外線を浴びた後に摂取すると良い成分】

・ビタミンA誘導体:レチノール、レチノイン酸トコフェリルなど。

・ビタミンC誘導体:水溶性ビタミンC誘導体、油溶性ビタミンC誘導体、APPS

・ビタミンE誘導体:油溶性トコフェロール、トコフェリルリン酸ナトリウム

 

エラスチンが入っている食べ物

エラスチンは食べ物から摂取することも出来ます。下記の食べ物にはエラスチンが多く含まれていますので、積極的に摂取するようにしましょう。

 

【エラスチンを含む食べ物】

・もつ

・スジ肉

・手羽先

・軟骨

・煮魚

・カツオの動脈球(カツオの心臓についている組織)

 

まとめ

エラスチンは、お肌のハリと弾力の維持だけでなく、私たちの身体の健康を保つ重要な成分であることが分かりました。また、その数は25歳あたりを境目に減少していき、40代になると激減しますので、30代以上の方はぜひ摂取を心がけて頂きたい成分です。

肌のハリを保つことに加え、血管、靭帯などの重要な身体の一部にとっても大きな役割を果たしているエラスチン。

エラスチンを積極的に摂り、美容効果はもちろん、健康で生き生きとした身体づくりにも繋げていきましょう♪